今日は舞台記録*をかねて、わたしの大好きなNYCBのご紹介。
New York City Balletはアメリカの大きなバレエ・カンパニーのひとつで、リンカーン・センターが本拠地。1948年に振付家George BalanchineとLincoln Kirstein(プロデューサー兼キュレーターのようなことをしていたすごい人)が設立。バランシンは、アメリカのバレエを築いたと言っても過言ではないほど。日本には5年ぶり(かな?)で10月にツアーに行くのでお見逃しなく!笑
実は先日のシーズン・オープンの公演(17日)の「白鳥の湖」も観に行ったのですが、今回はガラについて。
Fall Galaは、有名デザイナーとのコラボレーションでNew York City Balletの秋のシーズンを明けて、カクテル・パーティーとディナーがリンカーン・センターの劇場のホワイエで行われる大イベント!わたしはただ新作バレエが観たいから行ったのだけど、本当に豪華!パーティーやディナーは寄付金集めもかねたイベント。
去年はValentinoが衣装をデザインした新作やバランシンのRubiesの衣装のre-designがありました。このGalaの実行委員会がまたすごくて、Sarah Jessica Parkerをはじめ、わたしでも知っているデザイナーや役者などが名を連ねる豪華ぶり。
今年は、ぜいたくにも3作品がworld premiere。
ひとつは、ここ近年振付で活躍し、NYCBのソリストでもあるJustin Peckによる新作 Capricious Maneuvers。多分わたしとそんなに年齢変わらないくらいの若い振付家なのだけど、NYTでも評判よかったので、ずっと見たかった振付家のひとり!Peckの作品はPrabal Gurungによるデザイン。
http://www.youtube.com/watch?v=NIDtLd7oEYE
動きとフォーメーションが抜群。きまぐれCapriciousという言葉がぴったり。音楽の雰囲気もだし(というか音楽からインスピレーションを得ているんだとは思うけど)、動きのちょっとしたニュアンスとその形の美しさが気持ちいい。爽やかな印象で、ちょっとユーモラス。ようするに、わたし好み笑 ただ衣装はこれじゃない方がいいんじゃないかとか思ってしまった…苦笑 ハーネスの黒い線はなくてよくないか?と思ってしまう笑 でもPeckはこれからが楽しみ!
ふたつめは、映画Black Swanでもおなじみ(なのか?)の振付家Benjamin Millepiedによる作品Neverwhere。ナタリー・ポートマンの旦那さんでもあり(わたしは見かけなかったのだけれどナタリーも会場に来ていたそう!)、パリ・オペラ座の次期芸術監督でもあります。彼の作品を見るのは多分今回が初めて。デザイナーはIris Van Herpen。黒のプラスチックっぽい素材を蛇腹っぽくしてみたりと、とてもカッコいい。というか、よく考えるなぁ!と脱帽。
http://www.youtube.com/watch?v=40FLJ3_TtBo
衣装があまりに奇抜なのでどんな感じになるのだろうかと思っていたけど、セットと照明の効果と彫刻みたいにダンサーたちで作り上げる空間が絶品。照明があたって黒光りするダンサーたち。女性ダンサーはブーツをはいているみたいに見える!新鮮。動きはPeckの方が面白いんだけど(あくまで主観)、空間の作り方がミルピエは素敵。時間のひっぱり方も、香水の宣伝でも見ているような気分。あれは映像に撮っても映えるんじゃないかと思う。ただ、途中で衣装に飽きてしまった。また映える瞬間もあるんだけれど、ファッションショーではないから、ずっと見ていて、さらにそれで動いていても飽きないというのはなかなかプロのオートクチュールのデザイナーにとっては難しいところなのかも?
それでもバレエはPeckのように動きの感じで表現するものもあれば、ミルピエみたいに衣装を含め舞台空間全体を使っての表現も可能で、うーむ、なんて面白いんだ!としみじみ。どれがいい、とかというのではなくて、どれもアリ、ということ。
みっつめは、前衛振付家(とプログラムには書いてありました)Angelin PreljocajのSpectral Evidence。この人は本当にもう天才なんだよなぁ。衣装デザインはTheoryのディレクター、Olivier Theyskens。男性は、牧師を連想させる黒のスーツっぽい上下で髪はピタっとなでつけてある。女性は白いふわっとするワンピースでダンサーによって身体の部位に赤い模様?が入っている。髪はおろしてあるから、男性とは対照的。曲はジョン・ケージなんだけれども、全然ケージっぽくない!ことば、歌、呼吸(電子)という感じ。
http://www.youtube.com/watch?v=hvp8DnoVHys
プレルジョカージュのこの作品はわたしの中では別格。intensityがすごい。素晴らしい作品についてはあまり言葉で説明しても仕方がないといつも思ってしまう。照明はいってから最後までずっとドキドキしていられるくらい。男性陣はときたま入るバレエのボキャブラリーが映える。スーツだけど細身に見える。女性陣と踊ると影みたいにも見える。男女、priestと魔女、logic and instinctという感じ。衣装との関係も相互作用で面白い。人間の根本にあるものが引き出される。作品でソロを踊ったRobert Fairchildが素晴らしい!あんなにいい味出せるダンサーだったっけ?と思ってしまうほど。彼とパ・ド・ドゥを踊っていたTiler Peck(わたしの大のお気に入りのダンサーなのだけど)とのパートナーシップとintensityも素晴らしかった。というか、バレエ・カンパニーでこの作品踊れるってすごい!!
最後は、バランシン振付のWestern Symphony。大好きなこの作品、生で観るのは初めてでこれも楽しみにしていたのだけど楽しかったー!!カウボーイが出てくる、いかにも、アメリカ!なエンターテイメントなバレエ。派手だし、音楽も楽しいし、スピードあるし、本当に楽しい作品。衣装はKarinska。短いチュチュと帽子がとっても可愛い!
バランシンはシリアスな名作もこういうpure entertainmentな名作も作れてしまうって本当に天才、と思いつつ、このバレエ・カンパニーを創設して、新しいバレエを上演する伝統を受け継ぐような精神を育ててくれてありがとう、と心の底から感謝しました。実は、ミルピエも元NYCBのダンサーであり、NYCBのNew York Choreographic Instituteで振付を学んだひとり(ペックもそう)。このInstituteもバランシンの新しいバレエ作品を創って、上演することの精神を受け継いでできたもの。
「伝統と創造」とかいうとありきたりな感じがするのだけど、それをやっていくことはなかなかできるものではない。
NY戻って来れてよかった、と思う瞬間のひとつでした。
*この記録は、わたし個人の感想であって、わたしの所属する大学、コースや団体等は一切関係ありません。
No comments:
Post a Comment